【ロトルア/NZ】
立川林産(広島県福山市、立川浩司社長)とニチメン(東京、渡利陽社長)の合弁でNZ国内に設立したタチカワ・フォレスト・プロダクツ(以下TFPNZ、ロトルア市、立川浩司社長)が十周年を迎え、六日、現地で記念式典を行った。
 
NZ10周年
式典には、日本をはじめアジア各地からも取引先や関係者らが駆け付けたほか、ロトルア市長ら地元関係者を含め、およそ二百人が出席した。
  TFPNZはこの十年間で、従業員数、生産量ともに六倍以上に成長、就業者数ではロトルア市で二番目規模の事業所となり、地域の期待も膨らんでいる。
 式典当日は、グラハム・ホールロトルア市長、スティーブ・チャドウィック地元選出国会議員らも出席、祝辞を述べた。
 また、TFPNZは十周年記念として、ロトルア湖沿岸の安全を守る「コーストガード」にライフジャケットを寄贈し、コーストガード側からは感謝状が贈呈された。永年勤続者表彰では、現地採用従業員十九人に対して十年間の勤続を表彰した。
  立川社長は「お客様をはじめ、地元コミュニティー、従業員とその家族の支援のお陰」と英語、中国語、日本語の三カ国語でスピーチするなど、幅広い出席者への気配りをみせた。
 TFPNZは設立当初から「地域コミュニティーとの協調」を揚げて異文化との融合に積極的に努めてきた。その姿勢への評価が凝集された十周年の式典となった。
 
社長インタビュー
 
NZに進出した理由は
・立川 商社(兼松)勤務時代に主として木材関連プラントの海外輸出を担当し、アジア・欧米を中心に年半分のペースで海外を飛び回った。おかげで、各地域の林地植生から検量方、物資の流れといった周辺情報まで身に付いた。
  NZには百六十八万haの植林面積があり、その九割がラジアタ松。そして生長量も他国に比べて多い。日本で製材すればマーケットは国内に限定される。資源立地と世界に開かれた市場を考えるとNZになった。
 
十年を振り返ると
・立川 十年単位で計画を立ててるので最初の区切りがついた感じだ。ヒト・モノカネのうち、ヒトがもっとも重要な資源。社員には語学・貿易実務・パソコンを含めた対応能力を求めてきたが、現在立川林産のみでも十人はクリアしている。それにニチメンさんという強力なパートナーの存在がある。TFPNZとしてはこの十年で基礎ができたといえる。
  製品販売も当初は日本向けの梱包材中心だったのが、NZ国内、アジア(台湾、中国、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、インドネシア、ベトナム)、アメリカ、中東と拡大し、内容も梱包材に限らず、家具材、造作材など幅広くなっている。
 海外営業面ではこれまで私自身が陣頭指揮を取ってきたが、これからは社員に任せる部分が多くなる。今後は社員のチームプレーによって飛躍の段階を迎える。  
 
これからの十年は
・立川 現在の月間二万立方メートルの製品供給量は、取引先の要望にすべて応えるだけでさらに二割以上のアップが必要な状態。スタッフが育ってきたので、新たな事業展開も可能になっている。理想としては現工場から一時間の範囲内に新工場を立ち上げて、生産料を徐々に今の二倍に引き上げるのが今後十年の目標だ。国際舞台での戦力的な企業提携にも積極的に取り組んでいきたい。
 環境への配慮を規定したFCS(森林管理協議会)のラベリング認証についてその取得とともに、一般定義以外の「Fair-Share-Care」(フェアプレー精神で市場・利益をシェアし、従業員並びにお客様と相互にケアできる関係を築く)の精神が大事であると考えている。FSC精神をいつまでも持ち続けたい。
 
来賓挨拶
地域のサポートに感謝
渡利 陽 ニチメン社長
 当社が立川林産と合弁でTFPNZを設立する決断をしたのは10年以上前のことだが、その決断は正しかった。TFPNZが今日のような成功を収めたことは、従業員の努力はもちろんであるが、ロトルア市などの地元コミュニティーのサポートがあったからこそだと思い、感謝している。 当社としても今後TFPNZをサポートしていきたい。
誇るべき協力的市民
グラハム・ホールロトルア市長
 TFPNZは、社会的責任のある重要な雇用主であると同時に、地場産業の重要な担い手、協力的市民であり、当市林産3大地場企業の一つとして経済に大きな役割を果たしている。1995年からは地元高校にワーク・スカラーシップ・プログラムを創設、現在も続いている。これは地域の若者たちの将来に対する大きな投資だ。私はTFPNZが当市にあることを誇りに思う。

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